【病気の種から解決を】Kids Publicが行うオンライン相談サービスとは
今回は、anybotを導入していただいている株式会社Kids Publicにお話を伺いました。
株式会社Kids Publicは小児科領域/産婦人科領域の2つの軸で遠隔健康医療相談であるオンライン相談サービスを展開しています。
「どこに住んでいても、どんな社会経済的状況においても、妊娠、出産、子育て、成長を経て、また次世代に続く、その一連の成育過程が健やかである社会を実現します。」
というビジョンを掲げており、人に寄り添ったサービスの提供をしています。
そして2022年には経済産業省の「フェムテック等サポートサービス実証事業費補助金」に参画し、anybotを導入いただきました。
今回は、サービスを始めるに至った経緯や、実証事業に参画したきっかけなどをお聞きするため、産婦人科オンライン代表の重見様にお話を伺いました。
サービスを始めたきっかけ -ケガや病気の原因から解決したい-
2015年に会社設立後、最初に小児科オンラインのサービスが始まりました。
現代表の小児科医が、外来の診療現場にいた際に、病気やケガの原因からサポートしてあげたいと感じ、その思いからサービスの立ち上げに至りました。
例えば、お子さんの病気やケガというのはある程度治療で治せますが、ご家庭にやんごとなき事情があり、母親がお子さんに暴力を振るってしまう、その原因がひとり親という大変な状況でストレスが溢れてしまった、他にも親御さんがよく調べておらずワクチンを打てなくて病気になってしまうなどといった状況を目にすることが多かったです。
ケガや病気自体はその場で治療ができますが、元々の原因を根本的に解決してあげないと、繰り返してしまうというのを強く感じたことがきっかけです。
その後、私も産婦人科医として同じような社会課題を感じており、妊産婦さんの産後うつなどを根本からサポートしたいと思い、産婦人科オンラインのサービスも立ち上げることになりました。
ただ、現場にいるだけでは、どうしてもアプローチしきれないという課題もありました。
プラットフォームにはLINEを活用 -相談しやすい環境を目指して-
今の時代、スマホ等で直接つながりやすい環境になっているので、事前に不安に思うことを相談したり、解決していくというのもスマホで行えるのが良いのではないかと思い、ツールを探していました。
普段使い慣れないアプリの場合、アプリをインストールしてもらうという手間がかかる、また相談をするというのも少しハードルが高くなってしまうため、身近なツールを活用するのが一番便利だと思い、LINE上でのサービス展開を決めました。
LINEは、チャットだけではなく、音声通話やビデオ通話ができるという点も大きなポイントです。
私たちは相談する際、「チャットでも通話でも好きな方でいいですよ」とお伝えしています。
ビデオ通話を選ぶ方は、主に「子どもの泣いてる時の様子を見てほしい」など実際の様子を見てもらいアドバイスが欲しいという方が多いです。
なので、文章での説明が難しい場合は、音声通話やビデオ通話というように使い分けをされています。
割合的には、3割くらいが音声通話やビデオ通話になります。
また、小児科オンラインと産婦人科オンラインでは、傾向が違っており、小児科はお子さんに関わることなので通話を選ぶ方が産婦人科より多いです。
逆にチャットを選ばれる方は、寝かしつけの最中に相談される場合や、後で見返せる様に履歴に残るチャットがいいという方も多い印象です。
あとは、パートナーに後で共有したいという方もいるので、目的はさまざまだなと感じています。
施策以外にも記事の配信を -それぞれの状況に合わせて知識の共有-
オンライン相談以外では、社内で作成した医療記事が数百種類あるので、それを配信するという形でもLINEを活用しています。
今現在、お友だち登録してくださっている方が合計7万人以上いらっしゃるのでその方々に妊娠中の人には妊娠中の記事、小さなお子さんを持ってる方にはお子さんに関する記事など状況にあった記事を配信し知識を共有するというのを行っています。
LINE公式アカウントを単体で運用するうえでの課題は? -お客様の使いやすさを意識して-
まず、運用する上で感じていた課題は以下の2点です。
1.LINE連携の案内でお友だち登録までの導線を確保
予約してもらう夜間の相談などでLINEを使うことが多いのですが、その場合はまず会員登録をしてもらい、その後の予約の際にLINE連携の案内をしています。
連携することで弊社で管理しているカルテと紐づけることが可能になっており、社内でLINEを直接操作しなくてもチャットができるような仕組みを構築しています。
2.チャットボットを導入でフローの自動化
自動化できるところは自動化していった方が利用者の方にとっても私たちにとっても便利なので、部分的にチャットボットを活用してみようと考えました。
ただし、便利なチャットボットだと言っても、「生理痛がひどい」とチャットボットに相談して答えが返ってきても100%安心できるかというとそうではありません。
健康情報になると多少間違っててもいいかと妥協してはいけないので、我々としても高精度、ほぼ100%にしないとサービスとしては提供できないというのをずっと課題として抱えています。
そのため、一部の分野だけを切り取って、そこだけはほぼ100%の回答精度に仕上げれば活用できるのではないかと考え、一番最初は妊娠中や授乳中のお薬に関して、調べたい時に使いたい方向けにチャットボットを活用しようと至りました。
そこでいろいろな企業にお話を聞いていたんですが、anybotの無料デモを触ってみたり、お問い合わせさせて頂きお話を伺う中で、さまざま活用方法があると感じ、実証事業で本格的に導入しようと決めました。
実証事業に採択した訳 -使いやすく、マネジメントされた情報を届けたい-
今回の実証事業は、経済産業省がフェムテックという女性の健康支援するサービスの検証をし、効果があるのかをチェックして、それを元に、フェムテックのサービスや会社を広めていこうという思いから立ち上げられたようです。
その取り組みに参加してくれる企業には、補助金を出すという形で、弊社を含め、大体20社ぐらいが採用されました。
今回は、経済産業省というのもあり、働く女性の健康課題へのアプローチが主題になっていました。
弊社ではこれまで自治体と組んで妊産婦さんを対象とした実証事業や研究を複数実施してきましたが、働く女性や男性に対してアプローチする機会があまりなかったので、検証するにはとても良い機会だなというのもあり実証事業に申し込みました。
私たちは2つの課題をもっていました。
- 1対1での相談をもっと効率よくできないか
- オンライン相談を使う前に女性の健康に関する知識を提供できないか
この2点から相談する前の段階での、「eラーニング」で自動対応できるものを実現しようと考えました。
ただ動画を見てもらうだけではなく、その人の状況に合わせてよりマネジメントされた情報を提供できるようなものがあればと思ったのも一つのきっかけです。
anybotを使ったメリット -8割前後の方が使いやすいと回答-
メリットは、有意義な実証事業が出来たという部分が一番大きいです。
今回のanybotを使ったLINEアプリの観点でいうと、利用者アンケートの「今回のeラーニングツールは使いやすかったですか」という質問に対して、女性参加者の方が81%と男性参加者の方が78%のおよそ8割前後の方に使いやすいという風にご回答いただけたのでとても良かったなと思っています。
使いやすさに関してはかなり良いものが作れたのかなという風に感じています。
今後の展望は….? -自動生成AIの未来について考えていきたい-
最近は、自動生成AIが発展してきていて、医師国家試験の合格などでニュースにもなっているので、どんどんヘルスケアの分野に活用が進んで行くのではと感じています。
ですが、当然、ある程度倫理的な評価や、業界の規制というのは、最初は入ると思いますし、そういった不安はゼロにはならないだろうと思っています。
とある研究では、チャットで健康相談ができるというのをユーザーに試してもらった際に、回答も早くとても満足したと多くの方から高評価を受けました。
後日、実は回答主がAIでしたと打ち明けると、満足度がかなり下がったという結果が出ているんです。
このことから、やはり医療に関する内容を、AIという機械に預けるのは、不安が残るというのが今の現状だと思っています。
すごく便利ですし、可能性はたくさんあると思いますが、どれだけ進化しようと、不安はどうしても残ると思うので、この医療の分野では、AIだけで完結することはできない状況だと感じています。
ただそれをいかにうまく活用するのか、どこの分野に切り出していくのか、はたまた1つの分野に特化したトレーニングを行ったAIであれば不安感の部分を克服できるのかなど、考え方次第で変わると思うのでそこを検証しながら導きだせればと思います。
医療で活用する際には、対応するのは医療者だけど、サポートやサジェスチョン、リコメンドという部分で使えるのではないかなどこの数ヶ月、社内で色々な検証をしながら試行錯誤していました。
その辺りを上手く自動化や効率化に結びつけられるように今後も試していきたいと思います。
ゲストプロフィール
株式会社Kids Public
産婦人科オンライン代表 重見 大介 2010年 日本医科大学 卒業 2010-2012年 日本赤十字社医療センターで初期臨床研修(産婦人科プログラム) 2012-2017年 日本医科大学付属病院 産婦人科学教室 ーNICU(新生児集中治療室)、麻酔科を含め関連病院で産婦人科医として勤務 2018年3月 東京大学大学院公共健康医学専攻(SPH) 卒業 2022年3月 東京大学大学院博士課程(医学部医学系研究科 臨床疫学・経済学)卒業 2018年〜 産婦人科オンライン代表 |
企業概要
「Kids Public」
会社名:株式会社Kids Public
所在地:〒101-0052 東京都千代田区神田小川町1-8-14 神田新宮嶋ビル4階(map)
設立:2015年12月
代表者名:橋本 直也(小児科専門医, 公衆衛生修士, 成育医療等協議会委員, 健やか親子21推進協議会幹事)
事業内容:インターネットを介した成育医療
「小児科オンライン」
お子様についての質問や悩みを、お手元のスマートフォンから気軽に小児科医に相談ができるオンライン相談サービス
「産婦人科オンライン」
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記事執筆:
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